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Writer's pictureMikiko Ohde

PIANO LESSON   先生の選び方Ⅴ

Updated: Sep 2, 2020



ピアノの先生選び

ピアニスト目線からのキーポイント



良い指導者かどうか見極める一つのポイントに

J.S BACH作品の理解度で指導力があるかをみる方法が有効であると考えます


前回お伝えしたように J.S BACHの作品は後世のクラシック音楽作品・またクラシック音楽の枠を超えて 多くの作曲家に多大な影響を与えてきました

現代でもJazz Rock Pop などに編曲され時代を反映する音楽と共に

ジャンルを問わず新たな息吹を与えられています  

実は普段良く耳にするメロディや 世界の著名ミュージシャンの曲の中には

Bachのメロディは今も異質を放って 存在し続けているのです


さて

Bach(1685ー1750)はどんな楽器を弾いていたか 皆さまご存知ですか?

初めてレッスンにいらっしゃる一般受講生には良く質問をしてみるのですが

皆さんの解答も反応も様々!

とても面白く可愛らしいのです

オルガンが浮かぶ方は多いのではないでしょうか          

ハイ 正解です


ピアノ... 現代もピアノでBach作品多く弾かれてますよね      

ですから勿論.... 

   不正解(笑)


Bachの時代17c後半ー18c半ばには 現代のようなピアノは存在していなかったのです

実はBachと同世代 イタリアで楽器制作者として活躍したB.クリストフォリによって現代のピアノの原型となる楽器が発明されました

メディチ家の目録書にそれが記されています(以下目録書より 1700年)

"Un Arpicembalo di Bartolomeo Cristofori di nuova inventione, ch fa' il piano, e il forte, ... "


"1台のアルピチェンバロ B.クリストフォリによる新規発明品 

優しく また大きく響くもの ....(省略)"


Bachもこの新しく発明された  piano(優しい)の音も forte(大きく強い)の音も出せる斬新な楽器に触れ作曲で用いたこともありましたが 

彼が終生好んで使用した楽器は従来のチェンバロやハープシコードといった

バロック音楽を代表する楽器でした    

 *発明された楽器はアルピチェンバロと命名され記されてありますが

 現代のピアノの前進(原型)となるもので チェンバロとはメカニズムが異なる楽器です


チェンバロ

チェンバロは弦が弾かれて音が出るため 音の強弱が乏しいのに比べ

クリストフォリが発明したピアノの原型(アルピチェンバロ)ハンマーで弦を打つ新しいメカニズムを基に 

強弱が豊かになり 表現の可能性を大きく拡げたのでした


またBeethovenの時代にはこの新しいピアノは現代のピアノにグッと近づき 更なる進化を遂げています 

俗に言われるところの Beethovenの音楽の強弱が凄まじいと感じるのは 

このような楽器の進化が影響されているのもあるのですね


以上からお伝えしたい大事なことは

まずBachの鍵盤作品は 現代ではオルガン曲はオルガンで 他はピアノで弾かれる機会が圧倒的に多いですが 実は作曲当時は現代ピアノは存在しなかった ということを念頭に

音楽(楽譜)を解釈していくことが大事な要素になってくるのです


現代ピアノは音の伸びに加え音色も響きも豊かですし ペダルの効果も抜群です

つまりそれらがBachの時代には無かったので 

例えば間違った解釈によっては

過分な音楽表現が作品の芸術性を損なわせてしまうことが起きる訳です

単なる自己満足の演奏に成り兼ねず またペダルの多用なんて言語道断!となるのです


とは申しましても ペダルに関しては その楽器と置かれている空間などに左右されますので言い切れませんが

それでもBachに関しては ペダルの多用はあまりに滑稽な解釈へと繋がり兼ねません


では実際にオルガンやチェンバロなどの古楽器で弾かれていた指の使い方(運指法)や鍵盤のタッチを知らないと

Bachは現代ピアノで演奏出来ない or 本来すべきで無いのでしょうか?

それは NOです

J.S Bach Invention BWV.779 Autograph

Bachの楽譜(自筆譜・ヘンレ版など参照)を実際に見てみると 

Beethoven Chopin始め 他の多くの作曲家が楽譜に書いた運指法(指遣い)が書かれていないのが確認できると思います (参照右 自筆譜)


作曲家は記譜の際に

"ここの音はこの指で” 

”このパッセージはこれらの指を使って弾くと効果的に弾けますから参考に"  

という具合に所々運指を書き遺していたりします 

または楽譜を出版する際に出版社が無理の無い運指法を記している場合や

現在ではある1曲に対して 様々な編集者による独自の運指が記されて出版されてるものもあります


しかしBachが運指法をほぼ記譜しなかったのには深い訳があります

この意図するところを知らずして 無理な指遣いや奏法・解釈を押し付けてしまう指導者が多くいるのも事実です

次回はBachが実際に遺した音楽芸術に対する言葉から

その答えとなる大事な意味をお届けしましょう







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