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PIANO LESSON   先生の選び方Ⅲ

Updated: May 10, 2020

ピアノの先生選び

ピアニスト目線からのキーポイント


今回は

テクニックとメカニックの違いを心得ている

こちらについてお話します


今では一つの曲をCDだけでなくYoutubeやSNSなどでも聞き比べることが出来ます

私が10代の時はクラシック音楽を聴くのに最適な音源と言えばCDが主流でしたが

本来はコンサート以外ですと振動の伝わりからもレコードの方がずっと望ましいです

良いスピーカーを部屋に置き 一曲をじっくり聴き

何人かのピアニストが弾く同じ曲に耳と心を集中させて... 

様々な版の楽譜をピアノのボディに並べ 作曲家の遺した記号の解釈に 

音や呼吸に目を閉じ聴き入ってたものです


音楽の道へ進んだのは遅く 本格的には大学に入ってからでしたが

学生達の会話の中に

”あのピアニストはテクニックあるよね”  ”あの人ね メカニックの質良いね”

こんな風にテクニック・メカニックといった言葉が飛び交う日常でした

本来この両言葉の意味には明確な違いがあります

演奏上でも大きな違いを生みます




Technique/テクニック

専門技術・技巧

芸術分野やスポーツなどの技法・技術


Mechanic/メカニック

機械・機構・職工・職人


辞書にはこの様に示されているでしょう


先ずは分かり易いメカニックについて申しますと 音楽の中で意味するところは

指が機械的に達者に動く状態を説明する時に使います

指が機能的に動き 独立した状態での機械的動作をさしています

つまりこれは音楽性とは関係ないのです

スケール(音階)・アルペッジォ(分散和音)の練習が苦手な人もいるかもしれませんが

これらを自身の手指の特徴を用いて 機能的に無駄のない動作で弾きこなすことがメカニックの質を向上する大事な要素の一つです


次にテクニックについてですが こちらは音楽を表現する為の技術的手法です

音楽性を支えているものは本来このテクニックの方です

つまり音楽に直接的に奉仕するものがテクニックで最も重要な要素です

楽譜には作曲家のメッセージが沢山盛り込まれています

見て直ぐ分かるメッセージもあれば 演奏者の知識や想像を駆使して取り組んでこそ理解に及ぶ部分もあるでしょう

楽譜を見れば 

音楽標語に曲調のヒントがあります 

調性と拍子記号からは個々の作曲家の気分と呼吸の波が想像できます

スラーなどのアーティキュレーションの変化からは呼吸の流れと歌のニュアンスがみえます....


誰にでも見える楽譜上のメッセージを挙げればキリがありませんが

見えないところにも実は大事なメッセージがあります

それは作品の背景や作曲家の生涯・時代背景から考えられる解釈であったり

構成音の変化がもたらす響きであったり....

これらを演奏者はタッチ(打鍵)で表現しなくてはいけません

さて上記はほんの一部ですが

テクニックとはこれらの情報を全て音楽表現にするための技術・技法です

自身の耳を用いてタッチの変化を確かめ表現を実現させること=テクニックを確立していくことがピアニストの大部分のお仕事とも言えます


生徒がどちらで弾き難い動きになっているのか

メカニックならば

腕や指の使い方の正しい動きを身体で覚えさせてあげるように

テクニックならば

実現したい音を汲み取り弾いて聴かせ まずは耳で違いを理解させること


これらの違いを指導者がしっかりと理解していないと

メカニックばかりのただの早弾き演奏者になってしまう


弾いている作曲家のピアノ曲以外の作品 オーケストラ作品・歌曲作品・室内楽作品

色々聴いて そして聴き比べてみてください

朝起きての一曲 ランチタイムに一曲 バスタイムで一曲

自らの耳を育てること 

そしてこれらの違いを心得ている指導者をみつけてください




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